うつ病患者さんの最終診察
うつ病患者さんの最終診察
今日、うつ病で通院されていた患者さんが無事に治療を終わられました。
ちょうど、2年前に初診となった方です。プライバシー保護のため詳細はかけませんが、職場で本来の業務とは少し違った役割を与えられて、そこでちょっとした失敗があったのを機に発病されました。
まず抗うつ薬を十分に使い、職場を一旦離れて休養していただきました。
日常生活レベルの行動に問題がなくなった頃、定期的な運動も指導しました。3か月の休職で寛解まではもっていけなかったのですが、職場側の事情で一旦復帰のタイミングを逃すと次回のチャンスが半年先になってしまうとのことで、本人や職場産業医とも相談して復職を決めました。
寛解状態ではなく、時間的に特別なリワークプログラムもできなかったので、再燃予防に何か工夫が必要と思われました。うつ病になる方は、組織の中で与えられた役割を果たせないと、職場との一体感が失われて発病する人がいます。この患者さんも、そのような状況で発病していました。
ただし、本来の業務には元々は自信を持っておられた方なので、「復帰後のあなたの役割は本来の業務のみ。それをしっかり果たすことが組織の中での期待に応えること」と強調しました。職場にも、この方針を産業医から伝えていただきました。復帰後に、自分が失敗した仕事について「後任者に迷惑をかけたのではないか」とか考えては多少症状が動揺するときがありましたが、そのたびに「今のあなたの役割は?」と再確認して、それを果たすことだけを考えるように指導し、危機を乗り越えました。
今日無事に治療を卒業され、「とてもうれしいです」と喜んでいらっしゃいました。最後にも「あなたの役割は?」と確認したところ、「本来の業務です。生き生きとやっております」と笑っていました。
ちなみに、当院でのうつ病休職者は90%以上の確率で職場復帰を果たされ、再休職に至る人はほとんどいません。