パニック障害

パニック障害

  • 突発する不安感・動悸・息苦しさ・冷や汗・吐き気などのため、乗り物や狭いところが苦手に
  • 発作時以外に症状はないが、また発作が来たら・・・という予期不安はある
  • 歯科・美容院・列に並ぶのも避けるようになることもある

典型的な症例

典型的な症例

最近、仕事で残業が多いが、今まで病気らしい病気はしたことがないし、体力には自信があったAさん。ところが、1ヶ月前に、朝通勤電車の中で、突然、動悸・息苦しさ・めまいに襲われてしまいました。何が起こったのかもわからず、「何かとんでもない病気になってしまったのでは?」と思っているうちに冷汗も出て、立っていられなくなりました。

運良く駅に着いたので、ホームのベンチで休んでいると30分ぐらいで落ち着いて来ました。その後、空いている車両に乗って、なんとか出勤。仕事をしているうちに調子は回復して、その日の帰りは特に何事もなく帰宅しました。1週間ほどは何もなく経過しましたが、再び電車の中で同様の発作が出現し、次第に繰り返すようになって来ました。

かかりつけの内科を受診して血液検査や心電図をとってもらいましたが異常なし。内科医からは「気にしすぎですよ」と言われ、安定剤を処方してもらいました。薬は確かに何回かは効果がありましたが、しばらくすると再び発作が繰り返されるように。そのため、電車に乗るときに「また、苦しくなるのでは」と不安になり、無理して空いている時間に出勤するようになりました。

その後、Aさんはインターネットでパニック障害という病気のことを知って、近くのメンタルクリニックを受診しました。診断は予想通りパニック障害。ただ、今ひとつどんな病気なのか医師からの説明がありません。とにかく薬を飲むように言われ、SSRIというセロトニン神経系を安定させるという薬と発作が起こりそうなときに飲む安定剤をもらいました。薬は確かに効果があって、ひどい発作は再発していません。

しかし、電車に乗るときの不安感は持続し、どうしても混んでいる電車は避けてしまいます。以前好きだった映画も、「映画館でもし発作が起こったら・・・」と考えると行く気になれない日々です。この頃は、受診しても、「発作がないなら、薬が効いているんですよ。続けてください」と言われるだけで、薬だけもらいに行っている感じです。「症状を単に薬で抑えているだけで、やめられなくなるのでは?これが治療なのだろうか?」と悩みつつ、出口が見えない感じなのです。

薬を出すことしかしない医者が多い

薬を出すことしかしない医者が多い

日本橋メンタルクリニックへは、時々このAさんのような方が、他のメンタルクリニックから「流れて」きます。前の医師の診断が何であれ、先入観にとらわれず問診をさせていただき、新しく診断しなおすことにしていますが、パニック障害の診断が間違っていることはほとんどありません。出されている薬の内容はSSRIと抗不安薬の組み合わせで、これも間違っていることはあまりありません。

しかし、患者さんに「前の先生からどんな病気と説明されましたか?」と尋ねると、多くの方は「医者は余り説明してくれなかった」とおっしゃいます。そこで、「では、治療はどうすればいいと言っていましたか?」と訊くと、「薬を飲んで、無理をするなと・・・」程度の答えがほとんどです。

薬物療法は大切だが
根治のためには認知行動療法の併用が必要

薬物療法は大切だが根治のためには認知行動療法の併用が必要

当院では、このAさんのような患者さんに、パニック障害の心理学的な治療(認知行動療法)も薬物療法と併用しています。

まず、パニック発作とは「不安という警報装置の誤報」であることや、その不安を危険なものとして「誤って学習した」結果、「種々の回避行動」が生じていること、そしてそれらの回避行動が病気を維持・悪化させる「悪循環が生じていること」などを説明します。

次に、不安コントロール技法としてのリラクゼーションを指導し、最終的には、回避行動をやめて不安な状況に暴露させる行動療法を施行します。ちなみに、治療は保険の範囲で行っています。Aさんと同様に他院で2年以上の治療を受けてから、当院開院当初に来られたBさんは2ヶ月の治療で、混んでいる電車に乗ることにも抵抗がなくなり、今度は飛行機に挑戦するところまで回復しています。

パニック障害の説明図

強迫性障害

  • 何度も同じことを確認してしまう
  • 何度も手を洗ったり、普通の人が汚いと思わないようなものも汚いと思い触れない
  • こんなことをしている自分が恥ずかしいと思い情けなくなるが、止められない

強迫性障害とは・・・

強迫性障害とは・・・

誰でも、家を出るときに鍵を閉めたかな?と不安になって、確認のため途中で引き返したという経験がありますよね。まあ、大抵はちゃんと鍵は掛かっていて「なあんだ、心配して損した」となって終わりです。これが普通の人。しかし、強迫性障害患者の場合は違います。確認したことに自信がもてなくなって、何回も確認を繰り返します。ひどいときは何十回と・・・。こうなると、出かけることも容易でなくなるし、何より確認作業で患者も疲弊してしまいます。

このとき、「鍵が掛かってないかもしれない」という考えを強迫観念と言い、何度も確認する行為を強迫行為と言います。強迫とは脅すという意味の脅迫ではなく、「強く迫ってくる」という意味です。患者は強迫観念によって起こされる不安を何とかしようとして強迫行為をするのですが、それで不安は治まらずさらに確認したくなって強迫行為がエスカレートするのです。

強迫には実にさまざまなものがあります。「体が汚れてしまったのでは」という不潔恐怖(強迫観念)から一日に何度も着替えたり、手を洗ったり、入浴に時間がかかったりする洗浄強迫(強迫行為)が見られたり、「何か罰当たりな(間違った)考えをしてしまったのではないか」という不安(強迫観念)から「頭の中で記憶を何度も確認する」という、実際の行動を伴わない確認行為(強迫行為)も見られます。

患者も落ち着いているときは、「何度も確認するのは意味がない」と分かっていますが、実際に強迫観念が強くなっているときは、「それでも、万が一鍵が掛かっていなかったら」と考えて、強迫観念に抵抗することが難しいのです。それで、「わかっちゃいるけど止められない」となる訳です。

強迫性障害の治療は、薬物療法と行動療法が主です

強迫性障害の治療は、薬物療法と行動療法が主です

薬物療法としては、セロトニンという神経伝達物質を調節する薬が使われます。抗うつ薬として昔から使われていたクロミプラミンと、新しい薬であるSSRIで、フルボキサミンやパロキセチンといった薬が有効です。

強迫性障害では、うつ病よりも多量の薬を必要とすることがあります。クロミプラミンの効果は強いですが、古いタイプの抗うつ薬に共通して見られる口渇・便秘・立ちくらみなどの副作用が強く出てしまうことがあり、十分量まで増やしにくいことがあります。SSRIはのみ始めの吐き気、眠気などの副作用がありますが、のみやすい薬です。どの薬物にも即効性はなく、十分量を十分な期間服用して効果を判定する必要があります。

行動療法の中心は暴露反応妨害法といい、強迫観念が惹起されるような刺激に暴露して、しかも、強迫行為を行わないようにするというものです。要するに、不潔恐怖なら汚いと思うものに触れてもらい(暴露)、しかも手洗いをしない(反応妨害)よう工夫をするのです。「わかっちゃいるけど止められない」のに「止められる」ようにするわけですから、患者さんは大変です。

治療者との信頼関係や患者さん自身のヤル気が必要ですし、いろいろな工夫をするところに専門性があります。まず、患者さんにご自分の病気についてよく知ってもらうこと、なぜ暴露反応妨害が必要なのかを理解してもらうこと、ターゲットとなる症状を明確にすること、反応妨害のための様々な工夫をすることが大切です。薬物療法と行動療法をうまく組み合わせると治療効果がもっとも上がるようです。

強迫性障害の説明図

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