生活リズムの大切さ
一般の方はメンタルの病気というと、きっと診察でも患者さんの気持ちや自覚的なつらさなどを重視すると想像されるのではないかと思います。確かにそういうことも大切ですが、われわれ医療者が注目するのは、まず睡眠や食事がとれているかということです。
うつ病では約90%の患者さんで睡眠障害が認められるなど、多くのメンタル疾患で、「眠れない」という訴えは非常によくみられます。患者さんにとってつらい症状で、治療を求めるきっかけになることが多いものです。食欲が落ちるというのもうつ病などでよくみられます。睡眠・食事という生物として基本的な部分がうまくいかないと、例え他の症状が良くなっていても安心は出来ません。
そして、単に眠れるとか食べられるということだけではなく、規則正しいリズム(生活リズム)があるかがさらに重要です。例えば、双極性障害(躁うつ病)では、容易に、このリズムが崩れやすく、逆に、リズムが崩れることが発病や再発の引き金になります。他にも、ストレス反応である適応障害でも、休職してストレス状況から離れても、生活リズムが乱れると回復が遅れる傾向があります。さらに、疾患に関係なく、生活リズムが乱れた状態では、まず休職からの職場復帰はうまくいきません。
生活リズムを安定させるためには、①決まった時間に起きること②朝食をとること③午前10時前に明るい光を浴びること④適度な運動をすることなどがポイントです。