クリニック通信

双極性障害に伴う過食の治し方⑤⑥

⑤大事な人には本当の気持ちをきちんと言葉で伝える
依存性薬物を動物に投与すると、その動物は依存性物質を自ら摂取するようになります。当たり前の実験ですが、この先が重要です。その動物を孤独な環境に置いておくと、依存行動は変化しませんが、仲間の中に戻してあげると、だんだん依存性物質を摂らなくなることが分かってきました。孤独がいけないのですね。人間の場合は、見るからに孤独ではなくても、孤独な状況というのはよく見られます。それは、本音を抑えて人と関わっているという状態のことです。特に双極性障害の患者さんは、物事をズバズバ言うような印象とは裏腹に、デリケートな本音はなかなか言えない人が多いです。他者の気持ちを推測する力に長けているために、相手に配慮しすぎてしまうこともあるでしょう。また、強気に見えて繊細で、傷つくことを過度に恐れているせいかもしれません。

でも、本音はちゃんと言葉で伝えなければ分かってもらえません。ここぞという時は勇気が必要です。そうやって、本音をちゃんと言葉で言えるようになると、人と関わることが随分楽になるはずです。孤独から抜けられるということです。

 

⑥深く見抜くこと
病気や過食がどんなものか頭の先っぽで理解するのだけではなく、本当に見抜いてしまえば、自分を責める必要はないし、誰かのせいにする必要もないし、自分が何をすればいいのかに集中できるでしょう。例え、失敗することがあっても、それは不可能なことだからという意味ではなく、単に練習が必要だという意味だと深く見抜いてしまえば、焦りや不安に支配されずに済むでしょう。

例えば、あなたに素敵な恋人がいるとしましょう。あなたはその人のことが好きで好きで、ちょっとでも会えないとさみしくて仕方がない。そんな時に、何かの事情で、その人と別れなければならなくなったとしたら、簡単に気持ちを変えられますか?答えはNOですね。諦めようと頑張るほど、好きな気持ちは強くなるかもしれません。しかし、その恋人が実際にはとんでもない人物で、あなたをだましていただけということが本当に分かってしまった場合はどうでしょうか?要するにあなたが、相手の本質(自分にとって本当に大事な人ではない)を深く見抜いてしまったら?その時はあれほど好きだった気持ちを変えることがそんなに難しくはなくなっているはずです。もちろん、楽しかった時間を失った寂しさや、だまされた怒りは感じるでしょうが。

病気についても同じことです。単に知るだけではなく、深く深く見抜こうとしてください。どんなふうに極端な思考と感情があなたをだまそうとするのか、どんなに今まで病気に行動を合わせてきてしまったか・・・などを、私の言葉を鵜呑みにするのではなく自分で確かめてみてください。

日本橋メンタルクリニック

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