クリニック通信

双極性障害に伴う過食の治し方①

当院では双極性障害Ⅱ型の患者さんが多いのですが、過食症状を合併している方が一定の割合で存在します。

そのような場合にどんなふうに対処するのが良いかをまとめてみます。

 ①まずは双極性障害を治す
双極性障害は気分が上下するだけではなく、考えや感情が極端に走りやすくなる病気です。

そのため、衝動性が高くなります。

衝動性とは目先の利益を優先してしまうあまり、長期的な損失をこうむる行動を選択するということです。

うつ的な気分になったり、ストレスでもやもやした気分になったりすると、「この気持ちを早く何とかしないと、耐えられなくなる」とか「この気持ちのままでは何もできなくなる」などと考えやすいし、とても不安になったりします。すると、手っ取り早く不愉快な気分を解消しようとして飲酒や過食に頼ることになります。このとき、理性的には飲酒や過食は結局のところ自分のためにはマイナスだと分かっているのですが、衝動性が高い状態では目先楽になるという誘惑に応じてしまうわけです。この状態では過食を治すのはほぼ不可能です。

ですから、まずは双極性障害を良くして、うつ的な気分に陥らないようにし、衝動性をコントロールすることが大事です。それだけで、過食が治まる人もたくさんいます。

極端な思考や感情に襲われたときに、病気の症状であることにいち早く気付くようにする。
極端な思考や感情は「現実を反映していない」ということをいち早く思い出すようにする。
極端な思考や感情は症状であり、今はコントロールできないことを認める。そうすることで、コントロールできない自分を責めるような不毛なことをしない。
その一方で、常に行動は自分で選択する余地が残されていることを思い出す。極端な思考や感情に合わせた行動をとるか、自分にとって本当に価値ある行動をとるかは自分で選べる。ただし、失敗しても諦めず練習を続けることは必要。理屈を教えてもらっても練習しなければ楽器やスポーツは上手くならないのと同じ。逆に言えば、すぐにできなくても練習すればできるようになるということ。
そんなに時間をかけている余裕はない!という心の声があれば、それこそまさに極端な思考や感情という症状である。症状に振り回されないように気を付けて。
双極性障害の治療に必要な生活・行動を練習し続けよう。定期的な服薬、規則正しい生活リズム、禁酒、有酸素運動の習慣、適度な活動性を維持する、など。基本ができているかチエック。できていないところがあれば、完璧にできなくてよいので、少しでも目標に近づけられないか考えましょう。

日本橋メンタルクリニック

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